アフリカの光 (1975)

北国の漁港を舞台に、“アフリカの光”を求めてさまよう二人の若者の青春像を描いた丸山健二の同名小説の映画化。脚本は中島丈博、監督は神代辰巳、撮影も同作の姫田真佐久がそれぞれ担当。

監督:神代辰巳
出演:萩原健一、田中邦衛、桃井かおり、高橋洋子、河原崎長一郎、藤竜也、峰岸徹、小池朝雄

アフリカの光 (1975)のストーリー

空は重く、暗い、北の果ての港町。順(萩原健一)と勝弘(田中邦衛)の二人は人人の視線を意識しながら、寒そうに肩をすぼめて歩いていた。二人が行きたいのはアフリカの海だった。なぜアフリカの海でなくてはならないのか、本当は二人にも分らない。この計画の全てが曖昧だった。しかし、二人がこの計画に熱中しているのは紛れもない事実だった。春になればマグロ漁船が帰って来る。それに乗ればアフリカに行けるはずである。二人はそれまでの生活費を稼ぐためにイカ釣りの小舟に乗った。二人を雇ったイカ釣り漁師、千代松の孫娘、サヨ子(高橋洋子)は順と一緒にどこかへ行きたいと思っている。サヨ子の継母、久美は遠洋漁業に出かけている夫の留守中に、若い漁師、峯一を誘い込んでいるのを知り、この港町に耐えられなくなっているのだ。しかし、順は全く興味を示さなかった。

船員相手のバーのホステス、ふじ子(桃井かおり)は順と勝弘に自らの肉体を与え、彼女のヒモの穴吹(藤竜也)が開く賭場の見張り役を頼んだ。順は過酷なイカ釣りを嫌い、勝弘の反対を押し切って一人で引き受けた。その時から二人の間には溝ができたが、春になれば二人は同じ船に乗ってアフリカの海へ出かける、それまでちょっと寄り道をしているにすぎない。

勝弘はある日、水平線の彼方の一点に天から光の束が照射し、オレンジ色に輝き燃えているのを見、そここそアフリカの海だと勝手にきめて狂喜した。厳寒の海で働く勝弘が過労で倒れた。順は暖かい故郷に帰って静養をするようにすすめたが、順を迎えに来たふじ子の態度を見た勝弘は、順が女のためにアフリカ行きを中止して自分を追い出そうとしていると誤解し激怒した。しかし、勝弘は順の言う通り故郷に帰った。春。マグロ漁船がズラリと並び港全体が活気に包まれている。アフリカの海はもう眼の前だ。順は勝弘に手紙を何度も書いたが返事は来なかった。賭場が手入れを受け、順は稼ぎ場を失った。マグロ漁船に乗ろうとしても、穴吹たちの一味だという理由で断わられた。あげくのはてにひどいリンチを受けた。順にはどうしても勝弘が必要だった。怒りを勝弘への手紙で爆発させた。次の日、順は一人で、どこへ行くというあてもなく、この町を去った。

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